ギャラリーC.A.J.
展覧会 お知らせ 作家 コレスポンデンス新着 お問い合わせ・地図 トップページ
top
List

 

第3回  森知彦×コンドウヒトミ>>>ドゥ・ポワソンについてはこちらから

コンドウヒトミ
森さんはギャラリー(ドゥ・ポワソン)でのディレクションをされてもう何年になりますか?
20代の頃、若い時からされていて、すごいなぁといつも感心していました。
私は今年5年目を迎えようとしているのですが、最近は日本国内でジュエリーを扱っているギャラリーやショップも増え(私もそのうちの一人だとは思うのですが)この5年だけを見てもずいぶん変わってきていると感じているのですが、森さんは、もっと今の状況について思われることもあるのではないでしょうか。

森知彦
ギャラリーは2003年からですので、もう今年で8年になります。
はじめた頃はジュエリー作家が、ほとんどと言っていいほど認知されていませんでしたので、その頃に比べれば今は随分と開けてきたと思います。当時は日本の作家は海外のギャラリーで取り扱われる事を目標としていましたが、今ではそういった場所だけでなく、国内のギャラリーやショップでも展開ができるようになってきています。作家にとっては選択肢も増え活動しやすくなったと思います。

コンドウヒトミ
ジュエリーは現在有名ブランド店はじめ工芸系のギャラリーやカフェギャラリー、クラフトショップにいたるまで、様々なところで、展覧会が開かれ、扱われているものも本当に幅広く、アクセサリーから宝飾までがごっちゃになっていています。時々多少整理をしたほうがいい、して欲しいなと願っています。
焼きものの世界で考えると器からオブジェまで全て陶芸という言葉でひっくるめて言われますが、そこに何か違和感のようなものがあります。作家も、職人、造形作家、生活工芸家、クラフト作家、陶芸家といったように作家も含めそれぞれが、それぞれの思いで言葉を使っていますね。すべて工芸家でまとまるのかもしれませんし・・・。ジュエリーもペーパーデザインをしている作家もデザイナーということがあるし、自分の手で一から作り上げている人もデザイナーだったり、そこら辺のところはどうなのでしょう。工芸家でもアーチストでもないデザイナー。
作家一人ずつに、どういった意味合いで言葉を選択しているのか聞いていかないと私ももちろんですが、一般の人には全く見えてきませんよね。コンテンポラリージュエリーというと同時代性のことを重んじているジュエリーでもありますから、ひっくるめた総称にもなりやすい。それはそれでいいのでしょうか。

森知彦
ジュエリー分野の中で、もう少し細分化されている方が僕も良いように思います。ただハイジュエリー(注1)コスチュームジュエリー(注2)などは、すでに素材という部分の違いで理解されやすく確立できているように思います。コンテンポラリーと名のつくものはどの分野においても理解されにくい宿命にあるのかもしれません。

コンドウヒトミ
また、森さんは昨年末にNew Jewelryとして、新しい言葉を用いてジュエリーを紹介し始めていますね。作家もジュエリーデザイナーもいろいろな人がそこには含まれていたかと思います。そこのところも含め森さんのお考えをお教えいただけますか?

森知彦
New Jewelryは、作家とギャラリーが一丸となって今のジュエリーシーンを紹介できる場所をつくろうと思い企画しました。
最初は少数の作家のみでおこなう事を考えていましたが、多くの方に来場してもらえるようデザイナーやギャラリー、ショップなども参加出来るよう幅を広げ、楽しい会場作りを目標にしました。
ワークショップ、パフォーマンス、ジュエリー書籍の展示販売なども盛り込みましたので、 ジュエリーを買う以外の楽しみも演出できたかと思います。
結果的に2日間で1200人以上の集客。そして参加者、来場者からの良い評価を得る事が出来ましたので、それが一番の収穫だったと思います。

コンドウヒトミ
間口を広げてアピールするということですね。この分野とひとくくりにしていいのか分かりませんが、知らない方も沢山いらっしゃるので、知っていただくという意味では作家にとってもギャラリーにとってもいいのでしょうね。
そこから先は受け手の選択ということになるのでしょうし。今年も考えていらっしゃるようですが、昨年と同じでは行うほうも面白くなくなっていくでしょうし、何か新しい試みであったり考えていかないといけないですね。

森知彦
今回のイベントは参加された方にも、来られた方にも好評でしたので、また今年も開催しようと思っています。
新しい企画についても検討中ですが、規模や内容については昨年と同じように考えています。どんどん規模を大きくするのはなく、見やすい環境づくりや注目の作家を紹介するなど来てくださる方に満足いただける内容を目指しています。

コンドウヒトミ
私はダメもとでしたが何度か東京アートフェアにもアプライしていました。分かってはいましたが、やはり受け入れてもらえませんでした。ただアートフェアのオープニングでジュエリーをつけていったら、どこで売ってるのとか写真撮らせてくださいと沢山の方に言われるんですよ。しかも首から下。(笑)
私はアートフェアに来ている方だけでなく業界には、女性スタッフもいるわけですし、そういった方に身に付けていただきたいし、知っていただきたいと願っていました。そこがダメなら仕方がない切り口を変えないといけないですね。それが、もしかすると森さんがしようとしていることからかもしれません。もしくは、アートフェアの中でのミュージアムショップ的な立ち位置というのもあるかもしれません。ただ、それではプライスということに関して問題がでてくるかもしれませんね。

森知彦
僕もアートフェアへの出展に興味があり何度か試みましたが受け入れてもらえませんでした。だからというわけではないのですが、ジュエリーもジュエリーの分野として盛り上げていく必要があるのではないかと思いました。
ジュエリーはアートではない、ジュエリー=アクセサリーや、ダイヤモンド。そういったイメージがありますから、今後の活動を通じてジュエリーって面白いと受け手側に自然に思っていただけるようにしたいと思っています。
そうすればアートコレクターが、ジュエリー作品のコレクションもするように変わっていくかもしれません。

コンドウヒトミ
森さんは現在どれぐらいの作家を扱われていますか?森さんが扱っている作家の基準などありますか?海外のビックネームもされていましたが、間口を広げ皆さんに知っていただくところから最終的にはそこに焦点を合わせて行くことになるのでしょうか?

森知彦
今国内外合わせて60名ほどの作家を取り扱っています。
基準はその作家独自の個性があり完成されている事、そしてジュエリーとしての美しさを兼ね備えている事です。またジュエリーは身に着けるものですから、デザインやファッション性も大切だと思います。
海外のビッグネームも取り扱っていますが、やはり完成度が高く目を見張るものがあります。まだまだ少数ですがコレクターの方もいますので、今後も取り扱いを続けていくつもりです。
今後については、自然と世代交代もしていくと考えていますので、大御所作家の作品と若手の作家の取り扱いを並行して展開していく予定です。
若い作家に良い発表の場所を提供し続ければ、20年、30年後にも、キャリアがプラスされた面白い作品を作っているでしょうから、それを見るのが今から楽しみです。

コンドウヒトミ
そうですか。作家独自の個性があるというのはどの分野でもそうですが、重要ですよね。作品を見ても誰の作品か分からないようだと扱いにくいですしね。面白いアイディアというのは誰もが持っていると思います。ひらめきを作品化する方も多いでしょう。
ただアイディアは尽きると行き詰ってしまうことがありますが、自分がしっかりとコンセプトが決まっていると表面的な変化をしていても、その作家の気配や意思は伝わってくると個人的には思っています。もしくは一つのことを徹底的に突き詰めていくか。
そして、それを社会にどのようにメッセージするか、もしくはできるか。ただやはりデザインやファッション性も兼ね備えたものとして考えるとジュエリーは難しい分野ですね。
作家を続けるということも獣道を歩いていかなければならないので本当に大変なことだと思います。20年、30年続いていけるようこちらも最低限サポートしなければならいのでしょうか・・・。そのうちに、新しい意識のギャラリーもでてくるでしょうね。その前に市民権を取れれば、もっとジュエリーの作家も生きやすくなるでしょうか。
私はスター作家の必要性も感じています。分野を越境し、しいては一般の人にでも知られる作家が一人でも出ると底上げがされるのではないかと希望を持っているのですが、どうでしょう。森さんはどう思われますか?

森知彦
確かに一貫したコンセプトや作風を確立している作家は、安定的に作品を作っていけると思います。それを支えるギャラリーがあれば一緒に歴史を作っていけるのでしょうが、今はそういう部分が少ないのが現状です。
ただ最近は百貨店やショップの方も興味を持っていただいている方も多いので、そういったオープンな場所で少しづつ展示を行なっていきたいと思っています。
スター作家についてはすでに何人出てきているように僕は思います。展覧会のオープニングでも人が入りきらないほど集客する作家もいるくらいで、時々サインも求められています。ただインターナショナルな活動はしていませんので、このような作家については海外のギャラリーなどに紹介をしていきたいと思っています。

コンドウヒトミ
オープニングでサインを求められるようなスター作家というのは面白いですね。そういったスター性も必要なのかもしれません。
このメール対談を始めている中でアートフェア京都に出ることになりました。京都ということで受け入れてもらいやすかったかもしれませんね。多くのことを望むより、他の分野の方にコンテンポラリージュエリーという分野を知っていただける機会になればいいなと思っています。この分野をどのように理解していただけるのか分かりませんがやってみることというのも大切かもしれないと考えました。また、ご報告できればと思っています。
ジュエリーのギャラリーといってもドゥポワソンにはドゥポワソンのカラーがありますし、CAJも同様です。他にもいろいろとギャラリーやショップもジュエリーを扱うようになり展覧会もしていますが、普段はそれぞれの活動や方向性でしていたとしても、ジュエリーを扱っているということで一緒に出来ることもあるでしょうし、一緒にやっていく面白さもあるかもしれませんね。
また、何か築いていければいいですね。これからも宜しくお願いします。

 
注1)ハイジュエリー:一般的には高品質の天然貴石・貴金属を使用し、高い技術を持った職人よって作られる高級宝飾品を指す。   ⇒元の場所へ戻る
注2)コスチュームジュエリー:デザイン性を重視し、比較的安価な素材を用いて量産される流行品を指す。   ⇒元の場所へ戻る
⇒ページトップへ戻る

 

 


Copyright (C) 2008 gallery C.A.J. All rights reserved.